マレーシアでの相続 “Succession in Malaysia”
リガトラでは、英文契約書をメインに翻訳してますが、このような外国の裁判所による文書の翻訳も多くあります。
さて、マレーシアでの相続に限られたことではないのですが、今まで厳密に区別することなく訳してきた“succession”と“inheritance”。これらの単語の意味の違いを英米法辞典(田中編)で調べてみたところ、その背景には、英国と米国における相続の壮大な歴史があり、更には、別の概念である“descent”などの理解も必要であることが判明しました。正確な区別については今後の課題とします。
マレーシアの裁判所構造についても検索してみると、民事裁判所は以下のとおりでした。
①上訴裁判所 (the Appellate Court)
最高裁判所(the apex court)
連邦裁判所(the Federal Court)
控訴裁判所(the Court of Appeal)
②高等裁判所 (the High Court)
マラヤ高等裁判所 (the High Court of Malaya)
サバ州・サラワク州高等裁判所(the High Court of Sabah and Sarawak)
③下級裁判所 (the Subordinate Court)
治安判事裁判所 (the Magistrate Court)
初級裁判所 (the Sessions Courts)
マレーシアでは、上記の民事裁判所制度とは別に、イスラム制度が併存している点が特徴的でした。マレーシアのイスラム裁判所であるシャリーア高等裁判所(the Syariah Court)は、家事紛争、不動産に関する請求、その他イスラム法下で犯罪とされている違法行為のみを管轄しているそうです(以上、西村あさひ法律事務所ホームページより抜粋)。
さて、今回の和訳対象となった文書では、マレーシア法であるProbate and Administration Act 1959とDistribution Act 1958が言及されていました。それぞれ、「検認及び遺産管理手続法(1959年)」と「遺産分配法(1958年)」と訳しました。